◯十二番(須崎かん君) おはようございます。通告に従いまして、順次質問いたします。
最初に、愛知県議会において、新税導入に当たり、これまで幾度となく取り上げている里地里山の活用、保全についてであります。
都市部の県民の方々から、里地里山とは具体的にどのようなところを指しているのかわかりにくく、イメージがわいてこないという話を伺うことがしばしばあります。里地里山という言葉がまだ県民の皆様に浸透していないと思われます。
そこで、里地里山についてひもといてみました。
日本最古の書物である日本書紀の巻第一において、初めてイタケルノカミが地上にやってきたとき、たくさんの木の種を天から持ってきてまき、日本じゅうを青山にしたとの記述、イタケルノカミの父であるスサノオノミコトは、子供のために日本じゅうに木々を植えたとの記述もあります。これは、千三百年以上前の古代日本人が植林や緑を大切にする重要性を既に認識していたという事実を示しているものであります。
さて、この地方で里山という言葉が使われたものを見ますと、一七五九年六月に、この愛知県、当時の尾張藩で作成された木曽御材木方という文書の中で、里山は村や人家の近くの山という意味で使われていたとの記録があります。
平成十九年に国が策定した第三次生物多様性国家戦略では、里地里山を長い歴史の中でさまざまな人間の働きかけを通じて特有の自然環境が形成されてきた地域であり、集落を取り巻く二次林と人工林、農地、ため池、草原等で構成される地域概念としており、国においても、里地里山について明確な定義はありません。恐らく一般的な人々が抱く里地里山のイメージは、原生林のような自然ではなく、自然に住む人々がある程度手を入れ、活用してきた自然というところが妥当ではないでしょうか。
里地里山は、なりわいの場として幾世代にもわたり、人々が自然に働きかけ、持続可能な農林業の営みが行われてきた一番身近にある自然であります。里山林や竹林、水田、畑、果樹園などの耕地、ため池、水路など水辺を含んで多様な環境により形成され、裏山の雑木林で燃料となるまきや炭をつくり、肥料として落ち葉を集めたり、生活資材として竹を利用するなど、日常生活の中で活用する雑木のことを金木というなど、里地里山は大切な場所でありました。
しかし、近年は、電気、ガス、水道等の普及等による生活スタイルの変化や、都市部へ働きに出る人の増加などにより、人々の里山林の利用が衰退し、手入れされなくなった里山がふえ、竹林も放置され、遊休農地が増大するなど、人と自然とのかかわりの中で形成されてきた里地里山は、生物の生息環境として豊かさも失われつつあり、大きく変貌しています。
このような中、来年十月に愛知・名古屋で開催されるCOP10や、開催にあわせて実施されるエクスカーションや国際自治体会議などにおいても、里山は重要なキーワードになると考えられます。
人と自然との共生モデルとも言える里地里山が日本の原風景として豊かな自然の象徴として紹介され、世界の関心を集めることが予想されます。
今さら申し上げるまでもなく、里地里山は、農業、林業の生産活動の場だけではなく、日本の原風景としての価値、地域文化の伝承、生物多様性の確保や自然環境学習、健康づくりの場、洪水防止など多くの機能を有しております。地域住民とともに都市部住民も大きな恩恵を受けております。
景観十年、風景百年、風土千年という言葉がありますが、里地里山は日本の風土として根づいてきた文化的な財産と言えます。
このように、多面にわたる機能を有し、私たちの心のふるさととも言える里地里山は、県民共有の財産として、生物の生息環境としての保全だけではなく、生物資源の持続可能な利用の面においても適切に維持管理し、上手に活用することは、単に里地里山地域に住む人だけでなく、都市部住民も含めた県民共通の願いであり、大きな課題であります。
ここで、新城市北部の鞍掛山ろくに広がる四谷千枚田の取り組みを紹介いたします。
この四谷地区の石積棚田は、かつて千二百九十六枚の棚田がありましたが、米の生産調整などにより休耕、転作が進み、作付される棚田の減少を目の当たりにした地区住民が、これ以上棚田を減らしてはならないとの思いから、平成三年からその姿を写真に撮影し、全国から大勢の人が訪れる平成六年の愛知国体開催時に、山岳競技のメーン会場である山彦の丘ギャラリーで写真展を開くなど、いろいろな場所で棚田と美しい景観の保全を訴えてまいりました。
そのような中でも、平成八年には作付される棚田は三百七十三枚まで減ってしまいました。こうした写真が大勢の人の目にとまることとなり、平成九年一月に鞍掛山麓千枚田保存会が発足して、棚田の保存活動が本格化すると同時に、都市部住民との協働による地域活性化への取り組みが始まりました。
今では、地元の耕作者の平均年齢は五十九歳で、その若さに対してはよその棚田関係者から驚きの声が多く上げられています。
平成十八年、世界じゅうで社会貢献活動に力を入れている製薬会社から応援するとの申し出があり、現在では約百名を受け入れ、草刈り、植樹等の環境整備が行われています。
このようなボランティア、企業の受け入れなどに当たっては諸費用もかかることから、同保存会の運営は大変苦しく、地元住民の協力のもと、何とかやりくりを行っているのが現状であります。
しかしながら、先祖が築いた偉大な財産として受け継いだ棚田を連綿と守り、その棚田を糧にさまざまな活動を継続し、生き生きと暮らせる里地里山の村づくりに邁進している小さな集落でありますが、すこぶる元気がよいそうです。
知事は、提案説明において、COP10の開催を契機として、愛知万博で培われた地域の環境力を結集し、さらに高め、持続可能な社会づくりの先導的役割を担う地域を目指し、先駆的かつ着実な取り組みを進めていかなければなりません。また、豊かな生態系が将来にわたって継承される県土を目指すと表明されました。まさに私の考えと一致するところであります。
里地里山を地域で保全していくことが難しくなっている現状の中で、県民共有の財産である里地里山を保全し、多面的な機能を次世代に継承するためには、県当局による保全の施策の展開はもとより、都市、住民など多様な主体の参画による保全が何よりも必要であると考えます。
本県では、現在、あいち自然環境保全戦略の策定を進められており、その目標として、恵み豊かな生物多様性をはぐくむ地域づくりを通して、人と自然との共生を実現するを掲げています。そして、生物多様性の保全、生物多様性の持続可能な利用、生物多様性を支える基盤づくりを三つの柱にして総合的な取り組みを推進すると伺っております。
そこで、一点目として、現在の策定中のあいち自然環境保全戦略において、里地里山をどのように位置づけ、その保全に取り組むかをお伺いをいたします。
さて、いよいよ平成二十一年四月から新たに導入されるあいち森と緑づくり税を活用して、森林、里山林、都市の緑をバランスよく整備し、森や緑の公益的機能の発揮を目指すあいち森と緑づくり事業がスタートいたします。このうち、里山林の整備、保全については、人工林の間伐と違い、その里山林の立地環境や自然環境、また、地域での位置づけやニーズなどによりさまざまな取り組みが必要になってくるものと考えます。
また、その取り組みは行政のみで進めるのではなく、地域の関係者やNPO等、県民の皆様との協働により進めていくことが重要で、そのことが将来にわたり継続した里山林の保全活動の推進につながっていくものと考えられます。
そこで、二点目ですが、あいち森と緑づくり税を活用した事業では、さまざまなニーズに応じた里山林の整備にどのように取り組まれるのかをお伺いします。
また、愛知県下の特定非営利活動促進法に係る法人設立は、一月末現在、千百八十六団体で、そのうち活動分野が環境保全、子供の健全育成を目的とした団体数は合わせて二百二十三団体となっております。これに地域のボランティア団体を加えますと、環境保全や環境学習の取り組みを行っている団体は相当な広がりがあると見られます。
そこで、三点目として、同じくあいち森と緑づくり税を活用し、里山などの環境保全活動や環境学習などを実施するNPO等の活動団体に対し、支援を行うとされておりますが、どのような支援を行うのか、お聞きします。
一方、愛知万博の瀬戸愛知県館をリニューアルして平成十八年にオープンしたあいち海上の森センターでは、里山の象徴とも言える海上の森を愛知万博記念の森として将来にわたり保全するとともに、森林や里山に関する学習と交流の場としての活用が進められています。ここでは、広く県民が参加できる海上の森の会を初めとして、地元自治体や企業、大学等と連携して、里山保全の先駆的なモデルとなることを目指した取り組みが行われております。
そこで、四点目ですが、今後、県内の里地里山において、都市住民などが多様な活動団体による保全活動を推進するためには、担い手となる人材を育成する必要がありますが、海上の森センターでは人材育成についてどのように取り組んでいくのかをお伺いをいたします。
以上、四点について伺います。
次に、愛知のニューツーリズムについてであります。
世界的な景気後退が進み、人口減少時代を迎えた今、団体旅行など従来型のマスマーケットを対象とした国内旅行が低迷し、国内旅行市場の構造変化が大きく進展しています。一方、好景気時代の活発な余暇経験を経て、余暇なれ、消費者の旅なれが進み、余暇市場、観光市場ともに成熟する顧客に対して、よりきめ細かく対応し、質の高い新たなサービスを開発し、提供することが求められるようになってきております。
現在、余暇と国内観光という二つの領域に一種の閉塞状況が見られる中で、さまざまな生活領域や楽しみの間のクロスオーバーや越境、再編という形で見直しや付加価値を高める動きが進み始めたことは、ある意味自然なことであると考えております。そして、このような変化が余暇と観光に共通するものであり、顧客のニーズに対して余暇の資源を観光に生かし、観光の資源を余暇に生かすことが双方の閉塞状況を破る一つの引き金になる可能性があるのではないでしょうか。
こうした動きとして、新しい旅の形でありますニューツーリズムについて取り上げたいと思います。
ニューツーリズムとは、従来の物見遊山的観光旅行に対して、テーマ性を強く打ち出し、人や自然との触れ合いという体験的要素や交流的な要素を取り入れた新しい形の旅行です。具体的には、エコツーリズム、グリーンツーリズム、ヘルスツーリズム、産業観光、文化観光などがあります。いずれも従来の観光資源や観光施設に頼ることなく、地域の伝統産業や生活文化をそのまま旅行者に体験してもらったり、一緒に味わったり、見てもらうという新しい形の観光旅行です。
地域の自然環境や、それと密接に関連する風俗習慣等の生活文化を観光だからということで形を変えるのではなく、あるがままに観光する人に見てもらい、地域の環境と経済を持続的に両立させていくことにつなげることが肝要であります。エコツーリズムのような里山活動や生態系の観察ツアー、そして、グリーンツーリズムにおける農村体験、ブルーツーリズムの漁村体験において、自然、文化、人々との交流を楽しむ滞在余暇活動などさまざまなものがあります。
平成十九年六月二十九日に観光立国推進基本計画が閣議決定されたわけでありますが、国土交通省は、観光政策の中で地域密着型ニューツーリズムの促進として、ヘルスツーリズム、産業観光、文化観光等の新しい形態の旅行市場を活性化するために、ニューツーリズム創出・流通促進事業を推進しています。
本事業において、旅行商品化を進めるための留意点等をまとめたマニュアルやガイドラインの策定を目指すとともに、各地域密着型ニューツーリズムの取り組みを支援するため、運輸局ごとに旅行会社や有識者等によるコンサルティングを行うとともに、モニターツアーの実施の支援等を行っています。また、これら地域密着型のニューツーリズム旅行商品の流通を促進するため、データベースを構築し、大都市部の旅行会社によるパッケージツアーの造成や、旅行者への情報提供を進めております。
実証事業採択事業の中に、平成十九年十月に実施された「南知多の元気になれる島『日間賀島』アイランドテラピーまるごと体感!!ひまかヘルシー理想島」という事業があります。これは、従来の食べる、体験するに加え、心身について自覚的になる、いやしのキーワードを学ぶことを加味した企画で、これまでのアイランドテラピーの取り組みに加えて、今後の精度向上を目指し、交流人口増に結びつける活発な事業であります。
このように、ニューツーリズムは、各地の地域事情や地域資源によく精通した地域の人々が企画する着地型観光であり、だからこそ個々の顧客ニーズに細かく対応でき、地域ツーリズムというものを推進することができると考えます。
我が愛知県では、昨年、議員提案により九月議会で愛知県観光振興基本条例を制定しました。その後、観光振興推進本部を十一月に設置し、全庁を挙げて観光振興に取り組む体制を整え、平成二十一年度には、条例に基づき観光振興基本計画を策定すると聞いております。
そこでお尋ねをします。
魅力ある地域づくりは、地域に住む住民みずからが取り組むことが肝要であると考えますが、そうした人々の意欲をかき立てるには、まず、愛知県がしっかりと取り組む必要があると思いますが、県は、どのような考え方で観光振興基本計画を策定するつもりなのかをお尋ねをいたします。
また、県のニューツーリズムの取り組みについてお伺いをします。
従来から愛知県では、地域の特性を生かした産業観光と武将観光の二つに取り組み、観光ブランド化に向けて努力されていると聞いております。産業観光については、愛知万博を契機に取り組みを始め、今や世間に定着した感さえありますが、平成十九年度から取り組んでいる武将観光については、現在どのような状況にあるのか、今後、産業観光、武将観光に加えて、新たな取り組みを行っていくお考えがあるのか、お聞かせ願いたいと思います。
以上で質問を終わります。(拍手)
◯環境部長(藤井敏夫君) 里地里山に関する御質問のうち、まず、あいち自然環境保全戦略における位置づけと、保全に向けた取り組みについてお答えを申し上げます。
里地里山の自然環境、これは議員お示しのとおり、長い歴史の中で農林業など人の働きかけにより維持され、独特の生態系や景観がはぐくまれてきたところであります。しかしながら、都市化の進展や生活様式の変化に伴い、里山林の手入れの不足、耕作放棄地の増加などにより荒廃が進んでいる現状にあります。
このような中、近年、里山里地は、多様な生き物の生息環境として、また、自然との触れ合いの場としてその役割の重要性が見直されてきているところであります。
こうしたことから、現在策定を進めておりますあいち自然環境保全戦略では、里地里山は本県を代表する自然環境であり、生物多様性の保全と持続可能な利用を進める上で重要な地域、このように位置づけますとともに、人のかかわりを深める中でその保全、再生を図ること、これを施策の主要な柱としているところであります。
このような戦略におきます里地里山の位置づけを踏まえまして、新年度におきます取り組みといたしましては、本県の里山を象徴します海上の森におきまして、シデコブシなど希少な野生生物の生息環境の整備、これを進めますとともに、すぐれた自然環境を有しております里山を自然環境保全地域として新たに指定をすることといたしております。
さらに、里地里山と人とのかかわりの促進に向けまして、多様な生き物と共生する農林業の振興はもとより、幅広い県民の皆様の参加による保全・再生活動への支援などを展開することといたしております。こうした取り組みを通じ、本県にふさわしい里地里山の保全、再生を推進してまいりたいと、このように考えております。
次に、あいち森と緑づくり税を活用した事業のうち、NPOなどへの支援についてお尋ねをいただきました。
里山などの保全、再生に向けましては、その土地の管理者の取り組み、これはもとより、それぞれの地域の特性、ニーズに応じまして、多様な主体による自主的かつ創造力あふれたさまざまな活動の展開、これが期待されております。
したがいまして、県といたしましては、こうした視点からあいち森と緑づくり税を活用し、NPOやボランティア団体などが行います里山などの保全、再生を目指す活動を支援してまいりたいと思っているところであります。
支援の具体的な内容といたしましては、里山林におきます除伐や竹林の整備などの保全活動、さらには里山における自然観察会などの環境学習の実施に要する経費を一団体当たり百万円を限度に交付することとしております。こうした支援によりまして、里山保全に取り組みますNPOなどの自主的な活動の輪を広げてまいりたいと考えているところであります。
以上です。
◯農林水産部農林基盤担当局長(松下栄夫君) 里地里山の保全についての御質問のうち、あいち森と緑づくり税を活用した里山林の整備についてお答えいたします。
里山林は、生活環境の保全や災害防止などの公益的機能が期待されているものの、長期間放置され、その機能を十分発揮できない状態になっているものが多くございます。このため、この新税を活用して放置された里山林の再生を目指してまいりますが、整備に当たっては、地域の特性や多様なニーズにこたえていくことが必要であると考えております。
そこで、市町村が地域の方々やNPO等の活動団体と協働して、保全、活用に関する提案をしていただき、これを実現するために必要な作業小屋や歩道などの施設整備に対する支援を行い、地域の独自性や創意工夫による里山林の整備を進めることとしております。
また、人が立ち入れないほど樹木が覆い茂ったり、竹の侵入が著しい里山林については、不要木や竹の伐採などにより健全な状態に回復させるための事業を実施したり、土砂の流出のおそれのあるところでは、簡易な防災施設を設置する事業にも取り組んでまいります。こうした取り組みで地域や都市の方々が里山林とのかかわりを深められ、新たな交流や連携が各地で進むことによって、本県の里山林の再生につながっていくものと考えております。
次に、あいち海上の森センターにおける里地里山の保全活動に携わる人材育成についてお答えいたします。
まずは、里地里山についての理解、関心を深めていただくことが大切であります。そのため、あいち海上の森センターでは、広く一般県民の方を対象にした学習プログラムとして、間伐等の森の手入れを体験する森の教室、地元農家の指導を受けながら農作業を体験する里の教室を開催しており、平成十八年度以降、これまでに延べ約二千名の方に参加をしていただいております。
このほか、より高度な知識と技術を身につけ、保全活動の指導者として活躍していただく人材を育成するため、大学教授や活動団体のリーダー等を講師として、あいち海上の森大学や指導者養成講座を開講しており、これまでに百五十六名の方が修了されております。また、こうした参加者や修了者の皆様方に対しましては、活動されている団体との交流の機会を設けるなど情報の提供を行い、県内各地で里地里山保全に携わっていただけるよう支援をしております。
今後とも、現地実習をふやすなど研修内容を充実させるとともに、幅広く県民の方に参加を呼びかけ、県内の里地里山保全の一翼を担っていただける人材の育成に一層取り組んでまいります。
◯産業労働部長(富吉賢一君) 愛知のニューツーリズムというお尋ねでございます。
まず最初に、観光振興基本計画の策定に当たっての考え方についてお答えをいたします。
まず、基本的な認識といたしまして、本県では、各地に豊かな自然、由緒のある伝統行事、歴史的な文化遺産などの観光資源が多数ございます。
例えば、祭りや伝統行事などが指定されております国指定の重要無形民俗文化財の数を見ますと、愛知県は十一でございまして、秋田県の十四に次ぎまして新潟県と並んで全国第二でございます。このような認識のもとに、各地がそれぞれの地域にございますさまざまな観光資源を生かしまして、主体的に観光振興を図っていく、こういうことを後押しする計画でなければならないと考えております。
また、近隣県はもとより、中部圏の各県が有します観光資源を活用する、いわゆる広域観光の視点を持つこともこれまで以上に重要であると考えております。
その際、訪日観光客の伸びが期待されます中国、韓国といったアジア地域からの誘客は大変魅力的でございまして、広域観光促進の有力候補として戦略的に位置づけたいと考えております。
さらには、直接的な観光振興のみならず、国際会議やイベントを誘致、開催することは、本県発の情報発信を強化することにもつながり、かつ国の内外から観光客を誘致するよい機会となりますので、基本計画においてもきちんとした取り組みを位置づけたいと考えております。
基本計画の中には、以上のような視点も含めまして、観光振興施策の方向性と具体策を盛り込むこととしております。また、策定に当たりましては、観光関係者、有識者、まちづくりを担っている方々など多様なメンバーを入れた検討委員会を立ち上げ、検討を進めていきたいと考えております。
次に、武将観光の取り組みについてお尋ねがございました。
本県は、三英傑のふるさとであり、江戸時代の大名の七割が愛知県出身であるなど武将ゆかりのさまざまなものがございます。
このため、本県では、平成十九年度を武将観光元年といたしまして、武将観光への本格的な取り組みを開始いたしました。十九年度には、まず、武将観光について県民の皆様方に知っていただき、興味と関心を喚起いたしますため、武将シンポジウムや武将観光展の開催、武将観光パンフレットの作成などを行いまして、武将観光が愛知県の有力な観光資源であるとの認識を広めたところでございます。
本年度におきましては、昨年度の取り組みを基盤といたしまして、実際の観光客誘致につなげる旅行商品化を始めたところでございます。具体的には、桶狭間の戦いや家康のルーツをめぐる信長・家康観光コースを作成いたしまして、モニターツアーを行いますとともに、関係者が一体となって受け入れ態勢をつくりますため、市町村、観光協会、観光ボランティアガイド団体などを構成員といたします武将観光推進会議を設置いたしまして、各地の取り組みを後押ししているところでございます。
来年度は、昨今、武将が全国的に人気を博しつつあるこの流れをうまく利用いたしまして、武将観光ツアーを売り出す旅行代理店に対しまして、訪問場所でございますとか、宿泊施設、こういった情報提供や提案を行いますなど、ツアーが魅力的になるようにお手伝いをいたしますとともに、武将のふるさと愛知を全国に向けてPRをするため、本県各地に存在いたします武将観光資源の中から武将のふるさと愛知百選を選定し、県内武将観光地への誘客をさらに推進していく考えでございます。
また、武将観光のシンボルともなります名古屋城本丸御殿復元事業に対して新たな支援を行うこととしておりまして、今後、名古屋市とも連携をして、武将観光のブランド確立に向け努力をしてまいる所存でございます。
次に、ニューツーリズムの新たな取り組みについてでございます。
本県では、環境万博と言われる愛知万博をきっかけに環境というものが人々に注目をされ、万博開催後、さまざまな取り組みが展開されているところでございます。
例えば、愛知万博で稼働いたしました新エネルギープラントの一部インフラを活用しまして、新エネルギーについて、実証研究の場と、県民の方々に対する体験施設を兼ねますあいち臨空新エネルギーパークを、愛知県がこの二月にオープンするなど、本県には経済活動と環境を調和させるような取り組みを紹介、体験する施設が数多くございますとともに、海上の森など人と自然の共生を体験できる自然環境にも恵まれております。
このようなことから、環境をテーマとする観光が愛知ならではの観光ブランドの有力な候補になるのではないかと考えまして、現在検討を進めているところでございます。
今年度は、旅行代理店や消費者アンケートなどを実施いたしまして、県内に環境をテーマとするどのような観光資源があるのか、発掘を行ってまいりました。
来年度は、発掘いたしました観光資源を活用して、環境をテーマとするモニターツアーを実施することとしております。
さらに、再来年度、二〇一〇年の秋には、環境をテーマとする大規模な国際会議COP10が当地で開催されることとなっております。全世界から環境に関心を有する多くの方々が集まってまいりますので、来年度行いますモニターツアーの成果も活用しながら、会議参加者に会議の外でも当地で環境を実感していただけるよう工夫をしてまいりたいと考えております。
以上でございます。
◯知事(神田真秋君) 観光につきまして、私からも御答弁申し上げたいと思います。
大変厳しい経済環境の中に現在ございますが、何としてでもこれを脱却して景気の浮揚を図っていかなければならないという中で、物づくり愛知としての中長期的な基盤づくりももちろん重要でありますけれども、観光という視点もとても重要だと思っております。なぜならば、幅広い産業分野への波及が期待されるのが観光だからでございます。
地域ごとの魅力づくりの取り組みがさまざまな需要を生み、その地域の魅力に触れるために人々が訪れ、交流が盛んになることがまた新たな需要を生み出していく、そうした地域での取り組みがいわば点から線へ、線から面へと広がることで需要が拡大していくということで、大変この連鎖やらの拡大していくトレンドがとても重要だと思っているところでございます。
その意味で、観光というのは次世代産業の一つとも言えるものではないかと考えているところでございまして、条例に基づく基本計画の策定という大変重要な年度を迎えるわけでございますけれども、産業の一つだという、そうした位置づけとしても、この基本計画の中にしっかりと位置づけながら策定していきたいと思っております。
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